平成生まれが平成の終わりに色々考える

近代史を振り返るとかじゃなくて、漠然と思った事など。

大人こそ見に行け!アニメ映画「若おかみは小学生!」(1608文字)

映画「若おかみは小学生!」公式サイト

 

 昨今の口コミの力を信じたいので流れに乗ってみようかと。おそらく今年度の邦画No.1が上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」(未見)ならば、アニメ映画のNo.1は間違いなく高坂希太郎監督の「若おかみは小学生!」だと思う。自分は今回の映画で初めてこの作品を知ったが、令丈ヒロ子原作の児童文学作品で累計300万部以上の売り上げを記録しているらしく、この間まで日曜の朝に15分アニメとして放送してたらしい。Wikipediaを見た。

 

 両親を交通事故で亡くした小学6年生の関織子こと“おっこ”がおばあちゃんが女将をやってる温泉旅館「春の屋」でお手伝いをしながら、旅館の幽霊や、同級生のライバル旅館の娘や、変わったお客様などと接しながら“若おかみ”として成長してゆくストーリー。

 冒頭の幸せな家族旅行の帰りの道中で対向車線からトラックが突っ込んでくるシーンは、思わず体をのけぞるくらい怖いの。教習所のビデオでもあんなの見たことないくらい。そして何もなくなった空っぽの家に「いってきます」と言って出て、おばあちゃんの家に向かう電車の中で窓に反射する通路挟んだ席にいる家族を見ている姿にもうグッとくるんだよ。なにも悲しい場面じゃなくて旅館に住んでる幽霊の男の子“ウリ坊”や幽霊の女の子“みよ”、そして子鬼の“鈴鬼(すずき)”などの面々との絡みも面白く笑える。そして!我らがグローリー水領(すいりょう)こと“水領さま”がヤバい。とにかくヤバい。

 

 一旦話が逸れるけど森見登美彦原作、石田裕康監督の「ペンギン・ハイウェイ」も見に行ってきたんだが、ここに何とも魅力的な“お姉さん(本名不詳)”が登場してくるけど、水領さまも含め今年のアニメ映画は「お姉さんの年」だったな。

 

 話を戻す。兎に角みんなに見に行って貰いたいから、ネタバレをしないように語りたいからふわっとした話になるけどまぁ許してくれ。

 1つ目のポイントはとにかく劇中、違和感があるくらいおっこが健気なの。「お前両親死んでるんだから、もう少し落ち込むとかあるだろ?」と突っ込みを入れたくなるぐらい健気に旅館の仕事をして新しい学校との友達とも仲良くしてる。挙句の果てに、母親が亡くなったばかりの親子に「私の両親も最近亡くなったよ」とさらっと言える。何でこんなに健気でいられるのかは、ちゃんと劇中のおっこのセリフで表現されてるんだけど、それが妙にリアルなんだよね。

 2つ目のポイントは死者に対する表現の違和感。また違和感か。例えばドラマでも漫画でもアニメでも、亡くなった人の遺影はお墓に話かけるシーンで、亡くなった人が何か言い返したり会話が始まったりする事があったりする。この作品でもおっこと両親の間でそんなシーンがあるが、そこがだんだん「これは所謂ソレなシーンなの?それとも回想なの?夢か?」って感じで何か変になってくるんだよね。

 このポイントの1と2が物語のクライマックスで違和感が解消されるんだけど、解消された瞬間の「そうだったのか…」ってなるのと、そのシーンで見せるおっこの人としての強さや成長が一番表れるんだけど、もう泣く以外の選択肢がなかったね。

 

 普段は大人かオタク向けのアニメ映画ばかり見に行ってたが、今回初めて子供向けのアニメ映画を見に行ってみた。ちびっ子と親たちの笑い声とかが聞こえてきて、それが何かよかった。映画館での上映中マナーとしていかなる声も出さないのが普通になってきてるけど、子ども向け作品だとまだ声を出す程の感情表現が許されている空間が残っているとは。やっぱり大勢で見ているんだから、ただ黙って見てる良い反応があった方がいいよな。

 

 とにかくだ、そろそろ公開終了するところもちらほら出てきているみたいだから、この3連休にでも見に行ってきてくれ!1800円払っても損のない、むしろ得したと思えるくらいいい映画だと思いました!